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2021.07.06 未来のこと

次の覇権国はどこか?

覇権国とはどのような国をいうのか。正確に規定されていないが、「軍事力や経済力、文化的な影響力などで、他の国を圧倒するようなパワーを持つ国」という意味がある。
過去の歴史から、覇権国家が存在しないと、世界にとっては不安定時代になる。
次の経済的覇権国になる可能性がある国はどこか。

1.覇権国とは何か?

覇権国とはどのような国をいうのか。正確に規定されていないが、「軍事力や経済力、文化的な影響力などで、他の国を圧倒するようなパワーを持つ国」という意味がある。ここでは覇権国とは、世界経済で最も主要な地位を占める「経済覇権国」のことにする。

経済覇権国は、15世紀のスペイン(ポルトガル)、17世紀のオランダ、19世紀のイギリス、そして現在の覇権国である20世紀のアメリカへと推移している。略奪国家であるスペインを除くと、オランダ、イギリス、アメリカの3国には、共通の特徴がある。

経済覇権国になるための条件として、①資本主義が確立している ②経済バブルが発生し崩壊している ③恐慌経済下に財政出動して、後々のための社会資本を整備している ④債権国である ⑤民主主義国家である ⑥通貨の信用度である の6つ項目を必要だ。

 

日本の戦後のように、緩やかなインフレが続き、経済成長が続く。すなわち、「成長期の経済」なのだ。企業が積極的に借り入れをして投資をする。給与(所得)が増えた消費者も積極的に消費を行い、貯蓄も増えていき、金融機関も積極的に企業に金を貸し付け、企業から利息を受け取り、お金が健全に回り続ける経済空間が長く持続すると、いつかバブルが発生する。バブルも一種の投機で、一般庶民が一斉に投機に走る。しかし人間の本性として、一度投機の味を占めてしまうと、止まることを忘れる。消費係数が1を超えて設備投資が増えて経済均衡点極端に下がりバブル崩壊が起きる。このとき資産価値が急激に下落するので、銀行などの金融機関に破綻がおこり、金融崩壊に至って、ついには戦前にあったような恐慌状態に陥いる。また、企業も、投資効率が悪いため投資を止めて、金融機関へ借入金の返済に走る。同時に、消費者も、消費を控え、貯蓄に励む。その結果、お金は金融機関に滞留するばかりで、活発な経済活動は影をひそめ、経済は縮小に向かうデフレ経済が起こる。バブル経済時に前借りしたつけを、バブル崩壊後の総需要不足で返していることになる。そして、覇権国になるに重要なことは、「恐慌またはデフレ期の経済」のとき、いかに経済的イノベーションを起こし、次の経済成長のための社会的共通インフラを整備する必要がある。すなわち、この時期が「変革期の経済」となる。

2.覇権国家になった国の経済史

「バブルの発生」を経験した国が次の覇権国家になる。オランダは「チューリップバブルの崩壊」、イギリスは「南海バブルの崩壊」、アメリカは世界恐慌につながった「ニューヨーク株大暴落」を経験している。

イギリスでは1720年「南海バブル」が崩壊した。南海会社に、大量の国債を引き受ける見返りに額面で株式を発行できる権利を手に入れると、株価が上がれば上がるほど会社の利益が膨らむという仕組みを作った。同様の会社ができて、株が値上がりするのを見て、一般の人たちも競って株を買い求めました。心配した政府が、規制を開始すると、株価は急激に下がり始め、瞬く間にすべての株価が暴落するという恐慌状態に陥った。その間に、港湾の整備などの社会資本を整備し、その後の海洋発展の基礎が形作られ経済バブルの立て直しに成功した。これにつながり、産業革命が起こり、世界の工場として、繁栄を謳歌し、覇権国になった。

アメリカは、1929年のニューヨーク株大暴落によって、バブルは崩壊した。1933年に就任したルーズベルト大統領のニューディール政策によって、ダムや道路が整備され、後の自動車産業の興隆に大きく寄与した。しかし、アメリカが最終的に恐慌を脱出するのは日本との太平洋戦争による。戦時体制下での軍需産業への財政出動が経済を回復させた。戦争ための研究や開発は、戦後の航空機産業や電子産業、コンピュータ産業の発展に寄与し、次に昇るための「変革期の経済」は、戦争を利用した。アメリカは、日本との戦争に勝つことによって覇権国になれた。

現在の日本とアメリカは、80年前と同じく今回も、経済バブルが崩壊を経験し、どちらも覇権国家になる条件の一つを満たしている。80年前の日米両国は、軍事費に財政を注いで、「恐慌経済」から脱出し、どちらも覇権国になる可能性があったライバルだった。そして、その決着のための戦いが太平洋戦争だったと考えることも可能だ。結局、その戦いにアメリカが勝って覇権国家となり、日本は敗れて、アメリカの保護国となった。

しかし、本来なら、戦争に敗れた日本には、次の覇権国を狙うチャンスは来なかったが、アメリカは、その後の「朝鮮戦争」「ベトナム戦争」では実質的に負け続け、経済的にも失敗した。これにより、敗戦国日本の成功が浮かび上がった。それだけで言えば、太平洋戦争で日本が完敗したことは、経済的側面だけをみれば大成功したことになる。

3.次の経済覇権国の候補国

では、具体的に、次の経済的覇権国になる可能性がある国をあげてみる。世界のGDP順位(単位=10億ドル)は、1位アメリカ、2位シナ、3位日本、4位ドイツの候補から、次期の覇権国なる可能性を、先ほどの6つの条件で検証してみる。

アメリカは、リーマンショックでバブルが崩壊した。その影響は世界に波及し、大恐慌の再来だ。しかし、今回のアメリカの経済は、80年前とは大いに異なり、マネーゲームに溺れ、実需を衰退させた。赤字国債を多量に発行して、アメリカは今や世界一の債務国で、日本や中国の援助がなければ成り立たないから無理である。

中国は、近々、上海バブル(中国バブル)は崩壊するが、一党独裁の共産党政権なので、財政出動によって、「変革期の経済」をうまく乗り切れるか。同時に、通貨人民元の信用度を高めれば、覇権国家になることも可能だ。しかし、社会的混乱に直面して、共産党による強権を発動し、市場メカニズムから社会主義に戻ることも懸念される。もし、収拾に失敗すれば、国家の統一さえ維持できなくなり、ソ連のように分割へと向かう。

ドイツの足かせは、ユーロだ。ユーロ圏で健全な経済を維持しているのはドイツ1国で、ユーロはドイツの信用度で維持されている。そのユーロの中心的存在であるドイツが、ユーロ圏から離脱しないので、ドイツが覇権国になることまず不可能だ。

4.ある「密約」の存在

もちろん世界の国々を見回したところで、日本の民主主義の問題というのは、きわめて珍しく、しかも狡猜(コウカツ)だということだ。それは日本の当局が欧米の近代諸国の機構・制度を取り入れておきながら、自国の国会や選挙された政治家を、本来の機能を果たせないように封じ込めたという、特異な歴史を通じて生じた問題である。日本の政治システムに施されたこのような仕組みは、すでに一世紀以上にも渡り、まるで人体の免疫系のような働きをしてきた。バクテリアといった異物が侵入すると、白血球はそれを取り込み、そうした細菌を殺して人体を守ろうとする。それと同じように、政治家が現体制を揺るがすようになると、検察はメディアとともに、その人物を寄ってたかって阻もうとする。

またメディアはスキャンダルを通じて、官僚の目的の実現にも手を貸す。日本でスキャンダルが起きたときに、日本の一般国民には変革を加えるすべのない、超法規的で非公式なシステムを存続、強化するものだからだ。スキャンダルこそが、日本における真の民主主義の実現を妨げるものにほかならないからである。

5.バブルとは

この「信頼の絆」と「利子の存在」はマクロ経済の「経済成長=インフレーション」だけでなく、「バブル経済」を生むことになります。

1989年までの日本のバブルでも、大勢の人たちが値上がりを見込んで競ってNTT株を購入しました。また、2007年までのサブプライムローン・バブルでは、低所得者層の人たちまで、返せる見込みのないサブプライムローンに手を出し、住宅バブルが形成されたのです。これも一種の投機で、一般庶民が一斉に投機に走ったのです。しかし人間の本性として、一度投機の味を占めてしまうと、止まることを知りません。個人の投機熱はどんどん熱くなって行きます。消費係数aが1を超えて設備投資がΔI増えると経済均衡点AがA’まで極端に下がり、バブルが崩壊することを意味します。

そのことに気づいた国民は、企業も消費者も、一斉に経済活動を、投機だけではなく通常の消費まで手控えます。それによって、消費全体が委縮して、消費係数aは1を切って、a<1となり、正常な消費活動にもどるのです。

バブル経済時には、国民の大部分が金持ちになった気分になって消費をしますが、この消費に使う莫大な資金は、前借りして使っているのです。

この総消費量(=総需要量)をDとすると、バブル崩壊後の総需要不足は-Dとなります。

D+(-D)=0 となります。バブル経済のときに生じた莫大な総需要量は、前借りしているに過ぎず、このことを「バブル」と呼んでいるのです。

6.日本は覇権国になれるか

経済的には、日本は、経済覇権国に最も近いところに位置している。80年前の日米と、現在の日米は真逆の関係にある。東日本大震災の復興に赤字国債を発行し、28兆円の「財政出動」をすることで、被災地の復興ができ、「デフレ経済」も抜け出せる。やるべきことは、まず、大至急、震災復興、そして多くの橋が寿命を迎え、修復を待っている。そしてすべての産業を日本の得意とするサービス化するためのインフラ整備(サービス・サイエンス)に使ことだ。

過去の歴史から、覇権国家が存在しないと、世界にとっては不安定時代になる。覇権国家になれる国がなければ、日本も手を上げるべきだ。日本円は、最も安心できる通貨だ。昭和初期、日本を訪れたアインシュタインは、日本旅館のサービスが素晴らしいことに感激した。今、その素晴らしさは世界に再認識されている。日本の文化が、世界に浸透し始めている。アキハバラや渋谷は、世界の若者のあこがれの街になっている。「マンガ」や「カワイイ」が世界のトレンドになっている。また、世界が健康志向となり、健康のために日本食が好まれてきた。日本の着物も外国で着られるようになり、日本古来の文化(お茶、お花、香道など)が重宝されている。

覇権国になれば、世界経済を守る責任が発生する。日本が世界を守るという気持ちが必要である。そして、今の日本には、覇権国になるために欠けているのが、政治力とそれに付随する軍事力だ。覇権国になるには、最低限の軍事力が必要だ。普通の国になる必要がある。核についても議論をしなければならない。その準備をするべき時がきたようだ。

             木下栄蔵

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